知的財産管理技能検定の活用

学校インタビュー


  大阪工業大学知的財産学部

                                           

 

 

学部長・教授、大学院研究科長・教授 石井 正さん
学科長・教授 林 茂樹さん
学部・大学院研究科事務室・係長 澤井浩子さん                 

 


大阪工業大学知的財産学部(大阪市旭区)は、「日本で唯一の知的財産学部」として2003年に開設されました。日本において、必要とされながらもまだ不足している「知的財産人材」を養成する学部として、広く関心・期待が寄せられています。
知的財産学部では、旧知的財産検定の時から学習成果の確認や就職活動でのPRのために検定受検を活用しており、現在は3年次での3級取得を目指し、検定受検に備えた専門科目は、2単位を取得することができます。
同大学の取り組みについて、学部長の石井正さん、学科長の林茂樹さん、事務室係長の澤井浩子さんにお話を伺いました。

 

日本で唯一「知的財産学部」の特長とは

知的財産学部知的財産学科(2009年4月現在)

開   設

2003年4月

在籍人数

1年157名、2年155名、
3年149名、4年161名(計622名)

卒業生総数

475名

知的財産学部は、理系の工業大学の中にある「文系」学部。法律の基礎知識を身につけたうえで、知的財産に関する法律や知的財産の保護・活用を進めるための管理・戦略、契約、国際法務などの実務を学び、さらに経済や経営、専門英語、科学技術などを学ぶという点が、一般的な法学部にはない知的財産学部の大きな特長とのことです。「工学部の講義を受講でき、単位を取得することもできます。『法律と技術の両方で知的財産を学ぶことができる』ことも、工業大学ならでは特長です」(石井さん)。
知的財産学部には、企業の知的財産実務の最先端で手腕を振るっていた方が教授として数多く在籍。「更に、外部の知財実務専門家による集中講義や企業や特許事務所でのインターンシップを体験するなど、知的財産実務の現場に触れることができます」(林さん)。
  


 【大阪工業大学知的財産学部の特色ある科目(一例)】
・「産業社会と知的財産」・・・学部長石井さんによる1年前期の専門科目で,知的財産を学ぶ最初の講義。知的財産の全体像とその役割を理解する
・「知的財産英語」・・・基礎と応用があり,知的財産特有の技術英語の基礎を固め,演習形式で知的財産関連の法律や条約等で用いられる英語の語彙,表現,用法を学ぶ
・「知的財産実務」・・・少人数のゼミ形式による集中講義と討論形式で,社会の第一線で活躍している知財実務専門家から知的財産実務の具体的内容を学ぶ1泊2日の集中研修
・「知的財産インターンシップ」・・・事前学習を経て,企業または特許事務所でOJTを中心に知的財産業務を実体験し(2〜3週間),体験報告をまとめて発表する 


推奨資格3本柱のひとつ「知的財産管理技能検定」

知的財産学部では、「語学」「知財」「情報」を推奨資格3本柱としており、知的財産管理技能検定もそのうちの1つ。「学部にいちばん近い資格として、第1期生から団体受検を取り入れています。推奨資格として、受検料は大学で半額負担しています」(澤井さん)。2007年から、3年次前期に「知的財産資格」という事実上受検を目指す2単位を取得できる専門科目を設けており、主に3級合格を目標に全14回の授業が実施されているとのことです。「知的財産管理技能検定を受検することは、それまで授業等で学んできたことをもう一度復習しなおすことができるよい機会となります。また、合格すれば、就職希望先の企業に『大学で教わること以外に自主的に打ち込んだものがある』『この学生はある一定のところまで勉強した』と評価してもらえる客観的な判断材料となればと思っています」(石井さん)。 

 

養成を想定する知財人物像は「パラリーガル」

知的財産学部が養成を想定する知財人材像は、「パラリーガル」。「弁理士のような高度な専門人材1人につき、仕事を効率よく進めるためのパラリーガル=サポートスタッフ(調査業務や連絡業務等を行う者)が2、3人は必要であり、学部ではこのパラリーガルの養成を想定しています」(石井さん)。
パラリーガルについては、知財実務において非常に必要とされている人材にもかかわらず、その養成については米国等と比べると日本ではあいまいなところが多いとのこと。知的財産学部出身の人材が社会でパラリーガルとしてどのように活躍していくのか、期待は大きいといいます。
知的財産学部が送り出した卒業生はこれまで3期。2008年度就職希望者の就職率は97.2%、製造業を中心に、約半数が大手企業、約3分の1が知的財産の専門領域に直結した就職先とのことです。

 

様々なキャリア・年齢の院生が切磋琢磨する「知財専門職大学院」

大阪工業大学には、さらに高度な知的財産に関する専門知識を学べる「知財専門職大学院」があります。知的財産学部から卒業後に進学する者もいますが、社会人が4割を占めるとのこと。「現役の弁理士や弁護士の方、すでに知財実務に携わっている方や別の分野でのキャリアを培ってきた方、弁理士を目指す学部卒業生など、様々なキャリアや年齢の院生が集まり、現職でのキャリアアップや知財にかかわる職種への転職や異動、就職を目指して非常に熱心に学ばれています。学部卒業生は、実務家の院生と机を並べて学ぶことで、特に大きな刺激を受けているようです」(澤井さん)。
大学院知的財産研究科知的財産専攻(2009年4月現在

開   設

2005年4月

在籍人数

1年44名、2年35名 (計79名)

卒業生総数

129名

専門職大学院は、独立型の大学院であり、教員も大学の知的財産学部とは別の専任教員が置かれており(一部大学と兼務)、知的財産実務のエキスパート人材が教員として教鞭を振るっています。実際に大学院内を見学させていただいたところ、大学院生一人ひとりに自習室の机・椅子が用意されており、また、知的財産に関する文献が何でもそろう資料室・図書館があるなど、学習環境も非常に整っています。
本大学院の修了者(弁理士施行規則第5条で定める所定の科目(28単位)を修得した者)は、弁理士試験の1次(短答式)の一部が免除の対象になり、知的財産管理技能検定においても、本大学院で20単位以上の検定職種に関する科目を修了した者は、2級学科試験の免除申請が可能です。
大学・大学院という場で専門的に知的財産を学んだ知的財産人材が、今後社会においてどのような環境でどのような力を発揮していくのか、その活躍に今後も期待が集まります。

 

取材日:2009年7月23日 大阪工業大学にて
聞き手・文:知的財産教育協会