知的財産管理技能検定の活用

企業インタビュー


東京エレクトロン株式会社知的財産部

法務・知的財産担当執行役員(法務部・知的財産部部長兼務) 堀 哲朗さん
一級知的財産管理技能士・弁理士(特定侵害訴訟代理業務付記) 新井達也さん


東京エレクトロン株式会社(本社・東京。以下、同社)は、半導体製造装置およびフラットパネルディスプレイ製造装置の世界市場において高いシェアを持つ企業です。
戦略的な知財活動も活発であり、2008年には「知財・法務担当副会長を筆頭に、戦略的な知的財産活動を推進しており、知的財産戦略、技術戦略、製品戦略の三位一体の経営を実践している」等として、経済産業大臣より贈られる平成20年度「知財功労賞」を受賞しています。
同社には、本社の知的財産部およびその他国内4拠点、海外1拠点に知財部門があり、およそ80名の知財専門人材がいます。本社の知的財産部(約30名)では、旧知的財産検定の時から検定を活用。現在、知的財産管理技能検定2級取得を部員全員必須としており、皆が積極的に受検しています。
検定の活用や社内の一級知的財産管理技能士、人材に関する考え等について法務・知的財産担当執行役員であり法務部・知的財産部長を兼務する堀哲朗さん(以下、堀さん)に、また、合格後に実感したメリット等について同社知的財産部の一級知的財産管理技能士であり、弁理士でもある新井達也さん(以下、新井さん)にお話を伺いました。

 

「知財のエキスパートであるという証明」として、知的財産管理技能検定を活用

同社知的財産部では、堀さんが部長に就任してからは、部の方針として新卒でも中途入部でも、旧知的財産検定の時から「部員全員の2級受検を必須」としてきました。その理由の一つは、「知的財産部員が『知財のエキスパートであるという証明』を他の部署に示すのに、検定取得がわかりやすいと考えた」(堀さん)とのことです。
堀さん自ら受検し、「2級合格には、知的財産部として必要最低限持っていなければならない基本的知識の確実な習得が求められる」「実務経験の長い者でも、偏見や思い込みではない、法的根拠のある見識を示す能力があるかどうかを測れる」と判断。現在も、会社で受検料を負担して部員の受検を促しており、多くの部員が更なるステップアップとして特許実務のスペシャリスト対象の1級も積極的に受検しているとのことです。

実務で活躍する一級知的財産管理技能士

同社知的財産部には、旧検定1級合格者も含め一級知的財産管理技能士が7名在籍。これらの方々は、大半が知的財産部門で一定のキャリアを持ち、グループやチームのリーダーを任されている方が多いとのこと。「資格で仕事をするわけではないので、手当てや人事考課で優遇することはありません。しかし、結果的には、実務において活躍している人材が一級知的財産管理技能士になっているという傾向はあります」(堀さん)。

 

1級合格のメリットは「さらなるスキルアップ」

新井さんは、新試験制度(2008年7月に学科試験、11月に実技試験)の最初の試験をパスした一級知的財産管理技能士の一人。同年、弁理士の特定侵害訴訟代理業務付記試験にも1回で合格。新卒で自動車メーカーに入社し、システム部門に在籍。その後、知的財産部門に異動し、弁理士受験を通して法的知識を身に付けながら5年弱経験を積んだ後、約1年前に同社に中途入社。現在の主要業務は、侵害対策、特許調査、出願等とのことです。
1級の受検対策としては、『1級学習の手引き』の模擬問題を解いたり、実務で触れる機会が少ないところを専門書で学習したりしたとのことですが、学科・実技ともに「普段の実務経験が何より本試験での正答に寄与した」とのことです。「普段から強い関心を持って実務に取り組むことが、最良の試験対策なのかもしれないと感じました」(新井さん)。
一級知的財産管理技能士になった後、新井さんがメリットの一つとして実感していることは、「社内での質問への対応や議論への参加機会が増えた」こと
。「合格してから質問を受けたり疑問をぶつけあったりすることが多くなりました。きちんと答えられるように普段からアンテナを張り、分からないことがあれば確認したりすることが、スキルアップのための良い刺激となっています」(新井さん)。

 

合格者はメンターに。増えれば部全体もパワーアップしていく

知的財産部内にいる一級知的財産管理技能士については、「メンターになると考える」(堀さん)。メンターとは、「適切に指導できる人」。「メンターが部内に増えていけばいくほど、知的財産部の総合力もよりパワーアップしていくという良いスパイラルが発生します。部員の皆には、専門知識を深めながら、あわせて説得力や持久力、精神力など社会人として必須の様々な力も身につけて、経験を積んでバランスのとれた人材になってほしいと思っています」(堀さん)。

取材日:2009年3月11日 東京エレクトロン株式会社本社にて
聞き手・文:知的財産教育協会

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