合格者を増やし、地域に知財人材を輩出していきたい
一関工業高等専門学校
・当検定活用のきっかけ、理由 部活動の一つとして発明同好会が発足した年に、学生から自主的に受検したいとの申し出があったのが最初です。その後、一定の手続きの上で、資格取得をすると単位認定ができる資格に加えました。そして、本校が、若者の地域定着と雇用創出を目指すCOC+への参画を模索する中で、地域からの知財人材を輩出するお手伝いをする目的で、学生と地域技術者への検定試験の受検を奨励する動きとなりました。 ・受検者像 1年生から専攻科生まで、幅広い学年の学生が3級を受検しています。2級は、5年生で合格した学生がこれまでに1名います。学生たちは実にさまざまです。将来に明確な目的を見出している学生もおり、自分の可能性を広げようとしている学生もいます。学生たちに、的を絞った目標として把握できる資格試験を提示すると、そこを刺激できます。それから、今のところ面接試験が苦手だという学生にとっては、自分の努力・能力を明確に示すものです。 ・学習方法 教員による合格対策講習も実施していますが、学生同士で勉強会を開催する方法が、効果的です。「分からない」と思えた、その場がアクティブラーニングになります。教えることで記憶も確実なものに変化することでしょう。 ・推奨、補助 知的財産関連の授業(専攻科の「知的財産」、本科の「実践工学」)で、奨励しています。 その他に、全学年の学生に対して、メールで案内を送っていますし、掲示板3か所と教室にもチラシを作成して掲示したりしています。 また、昨年の11月開催の検定試験を一関市街地の会場に誘致して(特別臨時会場)、受検の便宜を図りました。今年度も開催を申請する予定です(2018年5月時点)。 ・単位認定など 3級は1単位、2級は2単位です。本科の学年が対象であり、その中では学年による認定に違いはありません。 ・合格者からの声 「この検定の勉強をすると、今まで漠然としていた特許、商標、著作権というものがどういうものなのかを理解することができ、身近な資料作りなどの際にも意識しながら行えます」との声が届いています。 他にも、「検定試験は学生の努力の証し。自分の希望する職種に就職できるよう、これからも勉強したい」という、前向きな姿勢が伺える声もあります。 また、「4人で受けたがみんな合格できてうれしい。覚えることが多かったが、友人と教え合った」という学習法に関する声も聞こえてきています。 ・知財技能士が増えたことによる変化 知的財産管理技能検定が学生間で知られるようになりました。文科省などが主催するパテントコンテストへの取り組みにも好影響があると思います。 ・これからの検定活用、合格者への期待 どんどん合格者を増やしていき、地域に知財人材を輩出していきたいと思います。3級合格者には2級にチャレンジしてもらいたいと思います。 知識を学ぶことに加えて、学生が特許を取得する方向、つまりは、「創造性を訓練する」という意識につなげられたら幸いです。「目指せ知財検定合格者数、日本一」とも考えています。 この機会に“発明の町、一関”をスローガンにできたら、結果的には実績も伴っていくかもなぁ!? などと夢想しています。 (一関工業高等専門学校 貝原巳樹雄様、梁川甲午様 談) *出典:『IPジャーナル』5号(2018年6月発行、知的財産研究教育財団)。本記事の内容は2018年5月時点のものです。
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