1年生時より3級を多数受検。将来、知的財産に接する時に正しい判断ができる素地を持つ
京都府立工業高等学校 情報テクノロジー科
・当検定活用のきっかけ、理由 本校・情報テクノロジー科(旧:情報システム科)は従来ハードウェアに重きを置いた教育を行っていましたが、日本の産業(製造業)の変化に伴い知的財産についての教育の重要性が増してきました。 また、授業の中で様々なコンテンツを利用する場面があり、他人の権利を侵害しないために知的財産権について教育を行う必要がありました。知的財産について理解を深め、そして理解度を各自が認識するために、知的財産管理技能検定の受検を学科として強く勧めています。 ・受検者像 1年生は、11月の検定から3級を受検しています(1クラス36名中の10名から20名が受検を希望)。 それ以降は希望者受検ですが、卒業までにはクラスの7割から8割の生徒が3級を受検します。2級は2年生以降に1クラスで3名から5名程度が3級を合格した次の回から受検しています。 ・学習方法 1年生の7月頃に公式テキストをクラス全員に貸し出し、夏休み中に一読させています。検定の2か月前から放課後の講習を開始します。1回の講習は2時間程度で、公式テキストを調べながら過去問題を解きます。過去9回分の問題を一通り調べ終わった後は、テキストを見ずに再度過去9回分の問題を解き、理解が不十分なところをテキストで確認しています。 講習としていますが、教員が一問ずつ解説するのではなく、受検者が自ら調べ、そして受検者同士で教え合うようにしています。受検者が調べてもわからない場合は教員に質問し、それに答えるという形態としています。 ・推奨、補助 入学時より資格試験に関する話は行っており、特に知的財産の重要性から1年生の11月または3月の知的財産管理技能検定を受検するように勧めています。 補助については、公式テキストを1年生に貸し出しています。 ・単位認定など 学校外における学習の単位認定(学校教育法施行規則第98条)に定めるところにより、実習の増加単位として3級で2単位、2級で4単位を生徒の申請により認定しています。 ・合格者からの声 高校卒業後の就職先で知的財産管理に係る部門に就くことはほとんどありませんが、知的財産権についての認識を深めることができ、他人の権利を侵害する可能性の高い行為とそうでない行為の区別ができるようになりました。将来、知的財産に接する時に正しい判断ができる素地を持てました。 ・知財技能士が増えたことによる変化 実習・授業の中でコンテンツを利用する場面が多くありますが、その際に知的財産権に十分な注意を払うようになりました。また、合格者が増えたことで、知的財産について注意を払うことが当然であり、学んでいく過程で知的財産管理技能検定を受検することが普通であるという認識を多くの生徒が持つようになりました。 ・これからの検定活用、合格者への期待 今後も知的財産を学ぶ上で、1年生での知的財産管理技能検定の受検を勧めていきます。 合格者には知的財産の正しい取扱いを期待しています。 (京都府立工業高等学校 情報テクノロジー科 婦木聡様 談) *出典:『IPジャーナル』5号(2018年6月発行、知的財産研究教育財団)。本記事の内容は2018年5月時点のものです。
|